2024 Frame making now Online Store

ネオクラシックディスクランドナーというカスタム。EBS/STUFF!

さて、今週もはじまりました
オーナーズバイクチェックのお時間です。

毎回二週に分けての二本立てでお送りする
Web上で行われるデジタル納車式。
今週は前編。
みなさま是非ご参加ください。

この二年間、
ご来店いただきお話を練り、
実際に仕上げていく、という従来のカタチから

コロナ禍により急速に加速した
新しいオーナー様とのつながりかた、ということを模索し
今まで他府県から観光がてら当たりまえに来ていただいていた
近畿圏の方から本州全て、今や九州をもカバーする
完全にオンラインで自転車を作る。
ということにチャレンジしてまいりました。

正直二週間くらい張り付きで色々調べてもらって
かなり苦労していただくことになるし、
それでも伝わらないことだらけだったし、
会ってない人から自転車を買う、というところは
僕が最も忌避していた通販で自転車買おう♪
みたいなふざけたやりとりを追うことになるんじゃ。。
って思ってマジのガチで悩んでた。

ここは喋り出すと確実に何かを攻撃してしまうことになるので
避けますが、じゃあどうやって東北のお客様から、
九州のお客様から買っていただくのか?
もっと野望を言えばまだ送ったことないけど北海道、沖縄。
ひいては毎日大量にメッセージやラブコールいただく海外の方に
どうやってEBSを伝えるのか?

ということを初めての宣言あたりで考えていたとき
出会ったのがこのバイクのオーナー様。

あの頃は
もう外に出たら終わる、
くらいのかなり緊迫した(今もだけどね)
状況でしたが、「こんな自転車が欲しい」
とかなり具体的な例をいただきスタート。

距離にして500キロはあろうかという
遠いところからかなり真剣なオーダーをいただき
どんどんのめり込む僕。笑

あの頃はなんだかんだ3ヶ月くらいで
バイクは完成、騒ぎも終息で
納車の際は観光がてらお車で長旅どうぞ。
くらいの感覚だったけど

目次

パーツもなければ長距離移動なんてことできるか!

って状況に。
実は今までも他府県の方とオンラインでやりとりし
組ませていただいたバイクはたくさんあるのですが
この前後の時期にオーダーいただいたオーナー様が
一番あおりをくらってます。

これは初めての状況で
あるものとないものの先読みがかなり困難で
ないものばかりで構成したりしてしまったという
僕のミスでしかないのですが…

ほんと、お時間いただきました。
今はかなり研ぎ澄まされて
チャートを外さないプロ相場師のような
かなり的確なご提案ができます。
これは今オーダーくださる全てのオーナー様のおかげです、
本当にありがとうございます。

実はまだあと何台か、そのあおりを受け続けて
この際待つぜ!と言っていただいてる
オーナー様がいらっしゃるのですが
どのバイクも真剣に組みますので
よろしくお願いします。

ほんと、オーナー様に助けられてばっかりだわ。笑

そんな今週のバイクは
いつかまた来る旅への渇望を
表現したような強い意志を感じるカスタム。

車種としてはSTUFFというバイクなのですが
やっぱりこのフレームはいろんなことできるよなー、って思う。

ロードバイクとして、気軽なクロスバイクとして。
がっちり700Cグラベルロード、650B化でロードプラス。
コミューターに、お買い物車に。
そして今回のようなランドナースタイルにも。

オーナー様の数だけカスタムがあるので
僕もどんどん勉強して
いろんなご提案をできるようにまだまだ吸収しております。



そんじゃ、今週のご紹介は…

Engineerd Bike Service(EBS)
STUFF Disc

完全に世界観を出す、スタイルのある
ランドナー・スタイル。

でも、別に旅がメイン、ってわけではなくて
あくまで「この形、かっけえな!」っていうのがスタート。

僕は乗り物はルックスが全てだと思ってるので
一番良い入り方だと思います。

見た目全て、というと語弊があるけど
見た目がイケてる乗り物は
性能もイケてます。

車、オートバイ、自転車。
車だったら燃費を追求すれば
かならず近未来の流線型にたどり着くし、
オートバイのカウルだってそう。

自転車に於いて空力は
多少はあるもののそこはあまり関係がなく、
いかに一度出した出力を無駄にしないか?
悪天候でもライドを続けられるのか?
そして故障し辛い、交換、修理が可能か?
などの機能性を追求すれば
自然と形が決まってゆき、またそれがスタイルとなり、
ある一定のラインから急に「うわ渋!!!」ってなるのです。

これは高級なパーツを使用する
(もちろんそれもありますが)ということではなく、
「自分の生活に合ってるか」がスタイルがでる一番の要因です。

例えば僕のメインバイクはシングルスピード、Fixedの
いわゆる「ピストバイク」ですが
京都の街並みをふだんつかいするにあたって
シングルは一度体験してほしいドンピシャセットです。

そこから慣れるまでの乗り辛さやたまにくるフリーギア衝動を跳ね除け
大好きな固定ギアにし自分のものとして落ち着いてゆく。

これがスタイルで、
僕は絶対やめとけ、って言われるとこにも固定で行ったりします。
それが楽しいし、好きなんです。笑
僕は言える、確実にスタイル出てる、と。笑

カゴは欲しいしタイヤも太いの履きたい。
荒れた山をゆるく下って遊んだりもしたいし
ロングライドで遠くまで行きたい。
そんな一台じゃできないこともあるけど
僕は自転車屋さんなのでいろんなバイクを持つのが仕事なのだ。笑

でも、その分フィットした自転車作りは得意だと思ってます。
ぜひご相談ください。

このSTUFFはスタイル出てる。
メールで、電話で「彼女かな?」って思うくらいやりとりしたこともありましたが
男ふたりで作ったオーナー様だけの自転車です。

それではクローズアップいってみよう!

STUFFって?

STUFFの紹介が久々だからたまにはフレーム詳細から。

STUFFは大きく分けて3つの世代、ひとつの派生を継いでおり、
Canti/Vブレーキの初代、
ディスクブレーキになった2代目、
スルーアクスル/ワイド化した3代目、
そしてヘッド大型化、カーボンフォーク推奨のSTUFF 44と
時代に、使い方に合わせていろんな変化をしてきました。

今回のSTUFFは2代目。
ここで大切なのは
最新が最高ではないということです。

トレンドはものすごい速度で移り変わり、
今日カッコ良いものが明日ダサい、
まるでTiktokから見る楽曲バイラルチャートのような
スピード感のある毎日ですが、
こと自転車においてはそのようなことはなく、

クロモリという普遍で不変の魅力を最大限に用い、
フレームさえ保ち続ければずっと使えて
新しいのも渋い、めちゃくちゃ古くなったのも渋い、と必ずなります。

要は前述の「スタイル出てるか?」というところが
最も重要であり、
石油王でしか絶対に追いつけない流行りの幻影を追いかけても仕方がないのです。

売るためにとことん作り替えてくるのが
世界の常であり、その輪から抜け出し、自分のカスタム道を突き進むのが
自己満足し続けるための最高のルートだと僕は思います。

もし、僕に唸るくらいのお金があれば
家に400台置いて常に流行りを追いかけ、
新品のビンテージを愛でる日々だったでしょう。笑

自転車屋の家やから我慢してくれ…と泣きつき
無理矢理天井に吊って5台、どんどん増える「いつか使うパーツたち」
それも楽しいですが、できるだけ近道してもらうのが
僕を使っていただくひとつの理由です。

サイズ感。

STUFFのサイズ展開は
世代によって少し変えたりしますが
S(510)/M(535)/L(560)の3サイズ展開。

身長160センチくらいから
185センチくらいまでの方がこのサイズの間に入ってきます。
その他サイズカスタムも可能です。

フレームカラー。

純正色はアイボリー。
可愛くもできるけど、
ちょっとアウトドアなカラーなので
グラベル系などでのキャンプツーリングとかでも
自然の中に調和するカラーです。

その他、カラーチャートの中から自由にお選びいただける
オーダーカラーもあります。
せっかくなので自分の好きな色に塗ってみてください。

Non Parkerizing Clear RAW。

今回のSTUFFは
前期までの限定受付だった
ノンパーカーのRAWカラー。

保管がかなりデリケートなため
ご理解頂いたオーナー様のみにご案内していた
一番素地、鉄を感じれる仕上げだったのですが
いまは受け付けておりません。

防錆処理をかける
パーカーRAWは期間限定で受け付けたりしているので
詳しくはご相談の中で。

フレーム素材。

フレーム素材はクロモリ。

その中でもEBSがより専門的に扱うのは
世界唯一の国産自転車用パイプメーカー
「KAISEI」社のパイプ。

「自転車用」にパイプを作っているメーカーは
過去には日本にいくつかあったのですが
今も国内で作っているのは「KAISEI」のみです。

番号によって軽さや厚み、仕上げが違うのですが
EBSで多く採用しているのは
022番というフルクロモリのダブルバテッドのパイプです。

これはツーリンググレードのバイクを
製作する時に多用するパイプなのですが
街乗りのバイクに使用するととても丈夫で軽いバイクができます。

今回のようにツーリングバイクを作る、というような時には
まさにドンピシャなパイプです。

ちなみにバテッド、というのは厚みのことで
ダブルバテッド、一本のパイプで二回厚みが変わるパイプを
ダブルバテッドと言います。

Kaisei 022は
溶接などで火が入ったり
荷重がかかったり、路面の振動でストレスがかかる部分は
より丈夫な0.9mmの厚み(これでもめちゃ薄いですよね)を。
強度を出しながらもクロモリはしなりがないとただの鉄の自転車なので
薄く、しなる中央部分は0.6mmという肉薄です。

なので、0.9mm-0.6mm-0.9mmと
二回厚みが変わるのがダブルバテッド、ということです。
厚みを変える、というのはとても手間がかかる工程で
これだけでも高級パイプとなり得るのですが
Kaiseiのクロモリは世界で認められる高級な鉄です。

例えば英国高級自転車の
Moultonの上級フレームなどには
Kaiseiの最高グレードが使われていたりしますね。

そんな日本の職人が作るパイプをこれまた自転車の職人が溶接をし、
そこからさらに僕が組み上げていくのがEBS京都の自転車です。

この登場人物の中では圧倒的に僕が若輩者なので
かなり緊張しますが知っていただき、
買っていただくという最後の窓口を裏切らないよう
しっかり組みます。

日本のパイプ、いつか後継がいなくなって無くなってしまうかも。
だから僕はいっぱい組んで応援したい。

そんじゃバイクチェックいってみよう!

フロントビュー。

縦に目を惹く先端出しのレトロなブレーキレバー。
小ぶりなキャリアにフルフェンダー。
おもいっきりクラシカルなのに
武骨なフレームカラーだったり、
めちゃくちゃ、昔からある形なのに
ディスクでタイヤも今の感じでハンドルも…
だったりとこれだけでもただ昔のジャンルを掘っただけの
懐古でないことがわかります。

ハンドルまわり。

先端出しのブレーキってとても昔のものなんですが、
機能性としては今にないものがあるのでスタイルが好みならば
とてもアリです。

昔はブレーキワイヤー自体が脆く、
結構旅の途中で切れたりしていたみたいなんですが
今のワイヤーはまあまず切れないね。
よっぽど放っておいたら切れますが。

そんな切れやすいワイヤーを交換するたび
バーテープ替えてたら無駄だわ!ってことでこの感じに。

もう一つはフォーク抜き輪行、という古典的な輪行法のため
ワイヤーの遊びを多くし抜けるようにする、という背景があります。

フェンダー付きの自転車を輪行するのは少しハードルが高いですが、
やり方次第でなんでもできるし、こうしたクラシカルスタイルも
ただの昔仕様ではないのです。

NITTO×EBSのドロップバー。

ランドナーのハンドルといえば
セミドロ系のものかマースの一番オーソドックスなもので行くべきですが
今はグラベルロードという考え方があり、
従来のランドナー、パスハンティングといった
もともと日本に根付いている未舗装路への飽くなき探求というものを
少し現代的な解釈をして組んでいます。

そんなこんなでチョイスしたのは
NITTOコラボシリーズの3作目、EBS-30。
オーソドックスな形をショートリーチで乗りやすく、
過去には存在しなかった
焼き入れをしないでOKな強度ギリギリの長さを狙った幅広のハンドル。

そしてEBS特有の「硬すぎない」ハンドル。
考え方は同じ、でも、今のものをふんだんに取り入れています。
昔はキツキツだったハンドルバーバッグもさっくりインストール可能です。

バーテープはレザー、BROOKSで男前度UP。

レザーのバーテープは馴染んでからが本領発揮。
今頃テラテラの良い感じの艶感が出ていると思う。
バーエンドはNITTOで。
付属のバーエンドでも良いけど
しっかり留めれて雰囲気も良いNITTOはやっぱり最高なのです。

GCのブレーキ。

レトロで高級感もある
Gran Compeシリーズのブレーキ。
パンチングが入ったものもあるけど、
敢えてのパンチなし。ソリッドに仕上げます。
構造はとてもシンプルで交換なども容易です。

ヘッドはWhite Industries。

オーナー様がおそらく一番悩んでいたであろう
「どこにホワイトを入れるか?」問題。
一度聞いたり見たりするとどうしても欲しくなる
”ホワイト沼”ですがやはりホワイトは良い。

オーバーサイズだとかなり選ぶ選択肢の多いヘッドセットですが
KINGにどんどん迫るのがWhiteのヘッド。
やはり長年やってるだけありKINGの信頼度は半端じゃないですが
Whiteのこの感じも最高だよね。

トップキャップがこんだけ良い感じなのはやっぱり
こまかいとこまで作り込んでくれてるから。

ヘッドの作りとしては
とてもシンプルなシェルにSTNベアリング。
シンプルであればあるほどやっぱり長く使って行った時に差が出るので
ヘッドはいいやつ入れとくと後々嬉しい出来事たくさんありますよ。

ヘッドバッヂ仕様。

STUFFは基本ヘッドロゴはプレート仕様なのですが
今回はバッヂにカスタム。
ここはお好みでOKです。
ちなみに最近プレートが真鍮のものに変わったので
そちらも良い感じです。

NITTOフロントキャリア。

今回チョイスしたのはM-18、NITTOのキャリアを。
大体の自転車に取り付けられる親切設計なのに
ばっちりその車種に合わせたみたいにつくのはさすがNITTO。

思ってるより重いものもいけちゃうし、
バッグサポーターとしても優秀。
バスケットも上に載るのでドロップスタイルでの
タウンユースやツーリングにカゴを持って行きたい時もばっちり。

ダイナモライトはB&M IQ-XS。

NITTOの専用ランプホルダーで
しっかりと。

ライトは僕の最大のおすすめ
IQ-XS。
なにがおすすめかというと
値段に対する機能、そして作りの良さです。

とはいえ少しづつ値上げしていますが
それでもまだまだ安いとすら感じます。
ダイナモライトは一度使うとやめられない便利さです。
是非導入ください。

現在はハブ、ライトともに完売なので
ご予約必須ですが僕もとても推しているものなので
それなりの量が入ってきますのでご安心を。

古典の世界のルックスから
国産のハンドメイドパーツやアメリカンハンドメイド、
そしてドイツのライトといいとこ取り。

渋いわ。

HONJOフェンダー。

東京本所ハンドメイドフェンダー。
じつはこのフェンダーも国産最後のフェンダー製作所です。

もう、世界中で絶賛されるとっても良いフェンダーなのですが
HONJOが日本最後です。

今のセミファットな規格にも対応する幅広なものを作っていたり
折りたたみ用のもの、ミニベロ用のものを専用製作していたりと
さすがのラインナップです。

取り付け穴とかも全く空いてない、
自転車に合わせて僕たちがすり合わせていくスタイルの
加工が必ず必要なフェンダーですが
EBSのバイクはもともと全てフレームから組むので
こっちの方が使いやすい。

クリアランス的に全てのバイクに取り付けられるものではありませんが
これほどぱっちりおさまるフェンダーもありません。
雨にも負けず通勤だったり日々戦う方は是非HONJOのフェンダーをお試しください。

タイヤはMAXXIS、Rambler40。

さっきからリアの写真だな。笑

タイヤはグラベルにかなり使えるランブラーを。
街乗りでもスムーズに走る舗装路OKなパターン、
絶妙な太さでこのバイクのスタイルにはガンガンハマってます。

昔のランドナーよりほんの少し太く、
今の良いタイヤで構成しているのでとても走りやすい。

タイヤパターンはこんな感じ。
細すぎず太すぎないこのタイヤは
割と空気圧の幅もあって乗り心地を変えることができますが
張っているときはしっかり真ん中で転がり、
下げている時はグリグリ系のグリップになります。

フロントハブはSP。

フロントはもちろんダイナモハブ。
SPもコストに対しての性能半端じゃないです。

なぜかフロントのディスク撮り忘れてるので
ブレーキまわりはリアビューにて。

変速はSHIMANO Wレバースタイル。

フロント(サイドについてますが)最後のご紹介は
今回はクラシックに倣いWレバーで。
1×11Sなどの今のグラベリーなスタイルもご検討いただいたのですが
やっぱりシルバーにこだわりたい部分とか、
サンプリングした車種などを掘っていくと
ここはとことん昔っぽくいくほうが渋いな!
っていくことでレトロスタイル。

まさかの2×8での最大/最小ギアレシオを
現代のものと同じくらい攻め込んでいます。
少し挑戦的なカスタムですがよかったですね。


いやー、ど渋な仕上がりでしたねー!
このどっしり構えるリッターバイクのような出立ち、たまりませんね。

来週は後編、
サイドビュー、リアビューとお送りします。

STUFFの製作状況。

現在STUFFは完成したばかりで
各サイズOK。
とはいえ2本ずつですが…

スルーアクスルの3世代、QRの2世代が混在しており
時期によっては手に入らないものも出てくるので
グラベル、気軽なハンドメイドクロスを作りたい!
って方は是非。

STUFF 44は完売、次回製作予約受付中です。
気になる方はお早めに。

それではまた来週!
ではでは。。

MASN

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