秋の最高気候。
もしかしたら、日本は四季がなくなって二季になるやもしれぬ、と。
「ニキ」という言葉そのものがまだすぐに変換で出ない世の中でよかった、と思う今日この頃、どうもMASNです。
もともと短かった、でも秋の夜長、なんて言われて幻想を持たされていた秋のレアリティが上がっているらしい。
多分、ポケモンカード転売なんかより大切で、かけがえのない出来事が目の前から少しずつなくなってる。
車で、歩いて、走って、食べて。なんでも秋を感じることができる尊い人間の感性だけど、僕たちは自転車に乗って秋を感じます。
歩くより速いけど、クルマやオートバイよりは遅い。
自分の力で出せるスピードで、自転車のスピードでしか気づくことができない景色や思考がある。
そんな部分を良いな、って思う方、そこに近しい方はシンプルな、長く使える、日本のハンドメイドの自転車、というものに響いてくださると思います。
四季が二季になっても、この短い激レア季節を察知して、楽しもう。
紹介するとかいってミニベロシングルの魅力だけ語った第一回はこちら。
フロントビューからサイドビュー、第二回はこちら。
今週のご紹介は「ミニベロ×シングルスピード」でお送りした全3回の最終回です。
ミニベロ選びって結構難しくて、良い物に巡り会うためにはタイミングも必要だったりで、僕個人にミニベロ何買ったら良い?ってDMが飛んできたりもよくするんだけど、人によって合う、合わないはほんとにあるから、こうしてご予約制でゆっくり2時間くらいご相談させてもらったり、その後メールでやり取りしたりして決めていくことが多いです。
そこにシングルスピード、という属性が加わるとさらに難しくて、そもそもちゃんと作ってるやつが少ないし、小径車なのに変速なしでいいのか?後悔しないかな?という思いはあって当然だし、使い方によっては後悔します。
ただ、合う人にはこれしかない、ってくらいハマる、めちゃくちゃ便利な乗り物。
かっこいい、かわいいはのちの分岐点。
小さくて、ただただシンプルなルックスに惚れ込んじゃった、という入り口ならばミニベロのシングルスピードは楽しめる可能性が高いし、「ギアついてたけど、今まで変速なんて使ってなかった」という方はもうシングルスピードの一体感味わってほしいとしか思わない。
そうして、またギア付きが欲しくなったり、700Cに移行したり、僕みたいに極端なマウンテンバイク乗り出したりと派生はそれぞれ。
でも、そんな時に燦然と輝く「ミニベロのシングル」。
日常の足にこれほど気軽なものはないのです。
そんじゃ、今週のご紹介は…
Engineered Bike Service(EBS)FLOAT 451S KAISEI 8630R Special
スーパーワイドなハイライズバー、ハイポリッシュのディープリム。
2010年代のやんちゃなカスタマイズをミニベロに落としこんだそのスタイルは固定ギアで組まれたストイックな一台に。
思い切りアクセントになってるピンクの前後ハブセットも最高にイイ。
色合いも自由に遊べるのがミニベロの、そして自転車のメリットです。
リアからシンプルなシングルスピードを見る。
やはりイイ、この簡素な駆動部。
この美麗なライン、たまんないね!
変速機は自転車史上最高の発明ですが、やはりこの原初の姿に立ち返ると感嘆。
変速システムは構造上、縦の駆動(漕ぐと前に進む)と横の駆動(ギアを入れ替える)という動作があるのですが、チェーンの動くラインがまっすぐでなくなる、ということ、変速しやすくするためにギアの歯離れをよくする機構がチェーン、ギアについてる、など、変速をするために生まれるパワーロス、というものが少なからず存在します。
その機構が一切必要ないので、チェーンは可能な最大まで厚みのあって丈夫なシングルスピード用チェーンと、ギアはしっかりそのチェーンに噛むようにそれ用のギアが使われています。
それプラス、さらにフリーギア(漕ぎを止めると”シャー”っと回る機構)もつけずに固定ギア、いわゆるピスト仕様になっているので、さらにその部分のパワーロスもないという、「機能を制限した」からこそ生まれる特化がミニベロピストの一体感につながります。
カンパニョーロのシンプルなブレーキ。
シンプルなシルバーパーツは需要大なのにどんどんなくなってきています。
なぜなのか、は、シルバーのパーツは「磨く」手間がかかっているからです。
それはパーツによっては手磨きだったりしたもんだから、年々価格に合わなくなって姿を消した、と。
最近ではSHIMANOのGRX Limitedとして出た完全限定版のシルバーがブラックに比べて価格が高かったんですが、発売後にまさかのSHIMANO本社でハンドポリッシュだと判明した時にその価値は上がりましたね。笑
僕たちもクラシックに組んで、というオーダーが多いし、得意としてきているのでできるだけいい感じのパーツは確保するようにしているけど、いつなくなることやら。。です。
そんな中、カンパのシルバーは質感が良いのに価格はリーズナブルで、その上性能もいい感じなのでよく使っていますが手に入りにくくなってます。
僕も自分のピストにはカンパのブレーキいれてるので、普段カンパ使わないくせにやっぱり大好きなブランドなのです。
軽量なPanaracer Minits Liteミニベロタイヤ。
ミニベロのタイヤでおすすめ何?って言われたら、451ならこのMinits Lite。
多分ミニベロタイヤの中でもかなり軽い方に入ると思うんだけど、重量ではなく、なんか転がりいいんだよね。
今回はその中でもよりストイックな7/8サイズ(約23C)をチョイス。
現在ではあまり使われなくなった23Cだけど、やっぱりトラックバイク系のカスタムやストリートでピーキーなカスタムを楽しもうと思えば23Cは外せないでしょ、ということで。
ど目立ちで目に入るPhilwoodのトラックハブは一生モノ。
後輪もフィルを。
アルマイトの綺麗さは世界一かもしれない。
ベアリングが、というよりそのハウジングの精度が抜群という言葉では語るのが失礼なくらいの高精度。
ハブはいいの入れておくとマジで長く使えるので、シングルスピードのパーツ点数の少なさと合わせて一点豪華主義というか、回転部にはいいの入れておくとノントラブルで過ごせる期間が長くていい感じだと思います。
個人的に大好きなEBSのシングル用トラックエンドプレート。
トラックエンドで好きなのは、やっぱり昔の競輪に使われてたようなのっぺりした雑な子供用フォークみたいな形のやつ。
ただの鉄の板に溝入れただけのようなあの形に惚れてしまうのは競輪マジックというか、やっぱシンプルの極致には造形美とはまた違う、実用性だけを追求した工業的な、無骨な部分だよなって思う。
それとは対照的にしっかりレーザーカットの入ったこのエンドも大好き。
細かい造作は違えど、EBSのシングルエンドはこれが採用されていて、この切っぱなしで溶接した感じが最高にいい。
NJSなどに準拠しているわけじゃないのでしっかり厚みを持たせて長く使えるようにし、引ける幅も少しだけ長くなっていて乗り味の調整はもちろん、チェーンもいろんな張り方ができたり、両切りのハブを使えば結構は歯数差も出せてちょっとカオスなカスタムも楽しめます。
今回は固定ギアで組んでいて、固定ギアとミニベロの最大のメリットは小コグの設定があること。
えぐいのだと12Tとかあるけど、EBSでは13Tが最小くらいかな。
451の20インチホイール、ミニベロだと、700Cピストでよく使うギア比は軽すぎて使えないことはないけどかなり足がきついです。
ミニベロだとフロント56T、リアは13〜16Tくらいのギア比で組むと踏みごたえがあって、かつミニベロホイールの制御の楽しさが相まってスケボー乗ってる気分。
道路で遊ぶな、とは思いますが、こうした遊び心のある乗り物は、乗ること、そのものが楽しくってただ道路走ってるだけでも楽しい、そんなバイクに仕上がるでしょう。
今回紹介したEBS FLOAT 451Sの画像ギャラリー。
うーん、やっぱいい。
このアンバランスを楽しむバランス感覚。
色で遊ぶ楽しみ。自転車ってやっぱこうだよな!という感じ。
店頭販売ではシンプルなところからカスタムベースとして膨らませてもらいたいので、カラーや仕様は派手なものじゃないけど、自由にカスタム楽しんでほしいし、「こんなんできる?」ってのを聞いて、探してくるのが僕のお仕事なので、色々ご相談いただければと思います。
EBSのオンラインストアがリニューアル。
新規のご予約オーダー、試乗車、展示車の販売から、パーツの販売まで。
今回からEBS LAB.という試みもスタートしていて、もっと皆様に自転車で遊んでもらえるよう、色々できれば最高だと思ってる。
かなり荒削りなんだけど、楽しくなれば、と思っているので皆様よろしくお願いします!
今回掲載の車種、製作などのご相談につきましてはいつでもお気軽に下記までお問い合わせくださいませ!
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