ちょいと更新が遅れましたが、来週は平日に時間が取れたので色々更新していきますね。
やはりまずは推させていただいておりますミニベロシングル、ミニベロピストのジャンル。
〜15kmくらいの自分の街の探検し切る街乗りの自転車としては最高クラスであることは間違いがないんだけど、当然、それだけじゃ収まらないスペックを持っているし、しっかり大人が持って満足のいく所有物としての素晴らしさも追求しています。
前回、第二章はこちらから。

序章から読むというヤベー方(まじでありがとうございます)はこちらから。

この記事ではこの車種そのものにクローズアップしてご紹介させていただきますね。
それではオーナーズバイクチェック、スタートです!!
バイクコンセプト。

今回のご依頼ではできる限り日本製のパーツを使用して、国内を応援、そしてジャパンメイドに囲まれたいというオーナー様の想いがふんだんに盛り込まれています。
もちろん全て日本製というわけにはいかないのですが、しっかり、抜かりのないパーツセレクトです。
カラーパレットとしてはご自身の好きな時計をカラーサンプルとしていただき、質実剛健な時計でしたのでそこも参考にしつつ、細かく差し色として入っていた青色を細部に織り込むことで表現しています。
使い方としては街乗り+いつかは輪行というEBS的な使い方で、このクラスのハイエンドミニベロを当たり前のように街で駆る、ちょっとした移動も遊びに変換し、かつ移動が楽しくなるようなイメージで組ませていただきました。
今回ご紹介するのは…
Engineered Bike Service (EBS) Horizontal 451 SS

雑に、安く扱われる「ミニベロ」というジャンル。
世の中で余った大きなホイール用のギアを無理やり取り付けられ、軽すぎるギア比で全然走らない。
そんなミニベロに対しての後悔や苦い経験をお持ちの方もいらっしゃるはず。
ミニベロ好きとしてはその売るために雑に作って「かわいいから」という理由でそこを無視し続けてきた業界の歴史からは逃げずに製作をしようと思っています。
実際、めちゃくちゃ走りますとは断言するものの、ミニベロでシングル、固定ギアでラグドフレーム、KAISEI 8630Rなんて強烈にニッチ極める構成にクセがないなんて言いません。
このフレームは、しっかりとご説明させていただき、それが人生においてのピースとして実際にハマると思えた人がオーナーになってくだされば最高であります。
ミニベロとブルホーンの相性は最高なのだ。まずはフロントから。

ホリゾンタルフレームに角度をバッチリ出したブルホーン。
大径車だとちょっと2000年代後半カスタムっぽい仕上がりになるんだけど、ミニベロだと本当に相性の良い組み合わせで今とか昔とかないですね。
水平をできるだけ保って、乗りやすいのに攻めたルックスに魅せる工夫。




NITTO RB-010は本当に曲げが美しくてこればっかり使っているんだけど、フラット部分から一回肩を落として、そこから先につながるまでのラインが満点でしかない。
リアブレーキアウターを内装加工で、ワイヤーの流れも良いですね。
EBSでは先端にブレーキレバーを取り付けてTTみたいなスタイリングをすることが多いんだけど、フラット部にブレーキレバーを取り付けることも可能です。
(関係ないけど後ろのレプソルいいね。)

NITTO のブルホーンバー、RB-010は700Cのピストやロードバイク向けに製作されているので、ミニベロには少し長かったりします。
Horizontal 451は通常SサイズからXLサイズまでの4サイズ展開なので、ここだけでも75mmほどのトップチューブ長の差があります。
当然、同じ長さで取り付けてOKなんてことはなく、体格や使い方、サイズと合わせて判断してカット、見た目と実用性のバランスを大切にしています。
めちゃくちゃ長く感じるブルホーンバーだな、と思う時、それは実際に自分にとって長いことが多いです。
自転車は機能美が出やすい道具なので、見た目だけが良い、なんてことはなく、流麗でビシバシのバイクは実際バッチリくることが多いです。
今回のHorizontal 451はXLサイズなんですが、XLだとノンカットでもバッチリスタイル出ますね。
実際はほんの少しだけ、慣らすレベルで削っています。
もちろん、Sサイズでノンカット、というオーダーもありますし、それで合わせることも可能です。
NITTO NJ-89ステムは角度が絶妙です。

ガールズケイリンの認可ステムであるNITTO NJ-89。
鉄フレームの競輪ではNJSパーツはスレッドステムオンリーですが、ガールズケイリンの認可カーボンフレームで使用されるためのパーツです。
Horizontal 451の純正は1インチクイル(スレッドステム仕様)ですが、今回はより軽量に仕上げるためにアヘッド仕様にてご用意。
このステムはオーバーサイズ用なのでシムを入れて使用しています。
横から見てもらうとわかるんですが、バッチリホリゾンタルですよね。
今のバイクはアップライトめに、ステムは上向きが調子良く見えるし、実際乗り方もゆったりめでクロモリ乗ろうぜ!という流れなのでそれで組むことが多いですが、クラシックかつ乗りやすく魅せるならこの角度が欲しくてNJ-89をわざわざセレクト。
PHILWOODヘッドセット。

1インチのアヘッド、ブルー系となればTANGEの選択肢もあったけど、ここはしっかりとしたものを入れて欲しくてPHILWOODをインストール。
このフレームはもともとCHRISKINGのGripnutを専用設計としており、フレーム価格の中にヘッド価格が込みとなっているのですが、アヘッドでカスタムしているのでここは変更しました。
KINGにも1インチアヘッドはあるけど、できるだけロゴのない、スッキリしたルックスを目指しました。
SHIMANO DURA-ACEブレーキ+Rindow Bullet lighting。

ブレーキはSHIMANOの最高位グレード、デュラエースの最新型を。
ロードもディスクブレーキ化がほとんど完了しましたが、軽量で調整がしやすくどこでも修理や手入れが可能なブレーキといえばやはりアーチ型。
バッチリ制動しますし、かなり高剛性で信頼しかないですね。
ラグと真鍮ろうの溶接のあとにワイヤーエンドの真鍮チップの組み合わせ、タイヤロゴのイエローがばっちり。
ライトはRindowのバレットライトで、今や砲弾、弾丸系のライトは結構出揃いましたが、小型のCNCで仕上がりの美しいライトといえばこれは外せないでしょう。
明るさはそこまでないのですが、夜は基本走らないということでしたので小ぶりなライトで一体感を重視。
DURA-ACE トラックハブにVELOCITY A23リム。


トラックハブで、手入れのあまり必要ないシールドベアリングで堅牢なものをセレクトしようと思っていたのですが、日本製で、手入れも楽しみたいとのことでしたのでカップアンドコーンベアリングのSHIMANO DURA-ACE TRACKを。
NJS認可である必要はないので28Hのもので軽量に仕上げています。
ミニベロはあまりスポーク数を減らすべきではないので、このあたりまでが調子いいです。
たまにグリスアップは必要ですが、それはシールドでも同じ(頻度は少ないけど)なので、たまに分解して、自分好みの回転に仕上げていく妙味は代え難い愉しみです。
もちろん、EBSでの整備やチューンも可能ですのでいつでもお持ち込みください!
リムはVELOCITY A23。
ここはやはりビードジョイントでしっかりしたものを入れたかったのでアメリカンパーツを。
日本製造のリムでミニベロ用の451、ないこともないんですが、あまりグレードとしては高くなく、しっかり長く使えるこちらをセレクト。
オールブラックベースが服装選ばずスポーティ。サイドから見る。

ミニベロ独特の前三角の大きさ。
前三角、とはいうけど台形だよね。
100年前から確立され、宇宙の法則にも適する「三角形」を組み合わせたダイヤモンド型フレーム。
ころころ変わるトレンドに惑わされない、今でも当たり前に採用されている素晴らしさをあなたにも。
Parkerizing Clear RAW+深みのあるメタリックネイビー。


クロモリ素地の風合いを活かして仕上げる、いわゆるローカラー。
実際には「カラー」ではなく、鉄の化学反応を活かした仕上げなんですが、ローフィニッシュとか、ローカラーと言えば伝わりますし、僕たちもそう呼んでいます。
パーカライジングという防錆処理を施さないと鉄はすぐにダメになるので、長く使いたいならパーカ処理は必須です。
これは塗装されたフレームでも同じことで、ペイントフレームにはパーかライジング処理が基本的に施されています。
クロームメッキなどは例外ですが、ほぼ全てこのこの下地処理が前提に入っています。
今回はその下地処理を施しクロモリの一本一本違うスモーキーな表情を活かして上からクリアーでグロスペイント。
RAWの無骨さと艶を出すことで出る高級感がマッチしていますね。
追加で今回はシートラグのみカラー出し。
コンセプトにあるブルー系のカラーを差し色として入れています。
シートステーも別注でキャップラグになっているけど、通常のHorizontal 451SSのシートラグはこの仕様ではありません。
セラアナトミカのR2ラバーサドル+Kileyアイライト。



サドルはSelle Anatomica R2。
個人的な最高サドルメーカーで、僕も革のものを愛用しています。
革サドルと同じ考え方でテンション調整を行っており、スロットも健在。
おそらく、まだかなり先の話ですがBROOKSなどもどんどんカンビウムの露出割合が増えているのでリアルレザーの使用は少なくなってくるのでは、、ないか、と思います。
世界的な考え方の変化ではありますが、こうしてしっかり作られたサドルの存在があるのはありがたいですね。
今回はこの後ろにKileyのアイライトを搭載。
光量はこちらもそこまで、ですが、ポジションが高いので視認性も良く、ミニマルなスタイリングが好きな方も取り入れたいカスタマイズだと思います。
シートポストはNITTO S65。
もうこれは名作すぎて語るまでもないですが、やはり横から見た時のカットの美しさは安価なシートポストに敵わないですね。
SUGINOの最強クランクを細かくカスタム。

誰しもが認めるピストバイクの最高クランクのひとつといえばSUGINO 75。
その75クランクをスクエアテーパーから24mmダイレクトドライブで高剛性、一体感を増したより走れる仕様に。
ダイレクトドライブとスクエアテーパー仕様はどちらも素晴らしいのでこれこそが至高というわけではありませんが、やはり良いものは良いと言わざるを得ませんね。


チェーンリングボルトもSUGINO製、トルクスでより強度の高い取り付け方式です。
ブルーの設定があるのも良かったですね。
チェーンリングはSSG144。
剛性の高さで言うとSUGINOならば一択でZENシリーズですが、クランクと合わせた時の空間の花形はSSGが1番美しいかもしれませんね。
華やかで好きです。
ちなみにチェーンもしっかり日本製。
HKKのVERTEXチェーンを使用しています。
PHILWOODボトムブラケットにKAISEI 8630Rの証。

今回はBBにSUGINOを採用せず、よりメンテナンスフリーなPHILWOODのBBを。
ブルーの設定があるのも選択肢のひとつですが、ハブとはまた違う負荷のかかるBBはあまり触らずに過ごして欲しかったので。
もちろんOHも可能ですが、ある種「放っておいても良い」のはさすがなのです。
日本製のクロモリ、KAISEI 8630R。

フレームマテリアルは「クロモリ」というかなり大きな表記ですが、「クロームモリブデン鋼」にもかなりたくさんあり、良い包丁などにも使われます。
このバイクで採用しているのはEBSでも積極採用しているブランドであり、「日本製」の「自転車用クロモリパイプ」としては国内最後の企業となる「KAISEI」のクロモリパイプです。
ここがなくなれば、日本で長く使える鉄の自転車を作るには海外に頼る以外に方法はなくなります。
それ、めちゃくちゃ悲しいことなので、僕たちはずっと使い続けたいし、EBSのオーナー様もそこに響いて、日本で乗るなら、せっかくこの人生、この時代に産まれたのなら、と共感くださいます。
KAISEIが出しているクロモリパイプにはグレードが存在し、通常のHorizontal 451に使用されている「KAISEI 022」はツーリングバイクに採用されているグレードで、丈夫さと軽量を兼ね備えた高品質なフレームとなっています。
KAISEI 022のパイプ径はダブルバテッド部で0.9mmから0.6mmに肉薄化してゆき、また0.9mmになるパイプ。
溶接部の強度の必要な部分は厚みを(それでも1mm以下ですが)持たせて、しなりの欲しい部分は薄く製造しているというわけです。
これは他社のダブルバテッドでも同じことですが、同じグレードでもKAISEIは軽量で、価格も高級。
古くから世界を代表するパイプメーカーですが、安価な大量生産をしていないので時代に押されがちです。
なくなると日本の損失だと思う。下手したらどこかに買い取られちゃう。
今回のSingle Special、Horizontal 451SSに採用しているのはKAISEI社の中でもハイエンドとなる「8630R」。
同じくダブルバテッド部では0.7mmから0.5mm、そしてまた0.7mmになるパイプ。
ここまでくるとちょっとしたボールペンくらいの太さになってくるわけですが、ここまでくると強度的にどうなの?となりますよね。
レースグレードでも使用されるパイプですが、この「8630R」はただのクロモリではなく、「ニッケルクロームモリブデン鋼」、ニッケルを添加してより硬さを増したものなんです。
ニッケルを添加することでより硬くできるのですが、溶接としての難度は上がり、より繊細なコントロールが必要となりますが、火を丁寧に入れることで火入れ前より硬くなるという特性も持ち、しっかり作られたフレームはとても反応良く走ります。
もっと軽くて硬いパイプもあるんですが、細身のクロモリを実現できて、軽量、走りもできて長寿命、というラインは8630Rが最高峰となるでしょう。
輪行特化させる。MKSの脱着式ペダル。Ezy superior。

なんにもなくてもMKS(三ヶ島)のペダルを使っているんですが、世界に誇れるジャパンメイドのペダルですね。
このバイクは輪行にフレンドリーでありたく、気軽に色々連れて行ったりして欲しいのでペダルも取り外せるものを。


工具なしでワンタッチ脱着。
取り付けている時は普通のペダルと同じようにしっかり使えて高回転。
コンパクトな見た目もミニベロに合っていますね。
シンプルなルックスで魅了。リアビュー。

この「シュッ」とした感じたまんないですね。
細身のクロモリから産み出され、ヘッドの長い独特の形状であるミニベロのウィップ感は固定ギアで乗ると最高に気持ちいいマシンになります。
固定ギア、いわゆるピストバイク仕様で乗ると荷重移動をかなり意識して乗るようになりますが、そこにさらにパワーでも制御できる小さい車輪があるとかなり独特で楽しいです。
もちろんリアもDURA-ACEブレーキ。

現行のDURA-ACEを投入することで生まれるメカ感というか、物質感がたまらなく格好良いです。
NISSENの軽量ワイヤー。

EBS KYOTOでは基本的に日本製のワイヤー、NISSENのものを使用していますが、今回はさらに軽量のものを。
このワイヤークラスになると持って明らかに軽いですね!
SUGINO Super Gigas Platinum 固定ギア。

コグにももちろんSUGINOのハイグレードなものを。
これもめちゃくちゃ軽いですが、何より精度が凄すぎる。
チェーン離れ明らかによくてビビれます。笑
両切りハブで色々試せる。

僕はホイールも作りやすいし色々便利なので基本的に両切りハブを使用しますが、今回もFix/Fixの両側固定ギア。
フリーギアも同じスレッドなので入れることもできますがロックリング分のかかりが少ないです。
いろんなギアを試して遊んで欲しいですね!
ちょっと軽めのギアを入れておいて輪行やロングライドで遭遇する坂道などに対応する伝統的変速方法も。笑
僕は乗鞍にピストで行った時それでめちゃくちゃ助かりました。

もちろんリアワイヤーにもNISSENの真鍮チップを。

シングルのトラックエンドはFLOAT 451Sと同じものを採用しています。
Panaracer Minits Lite 20×7/8(23C)

ミニベロ最軽量クラス、そして今ではかなり細めの扱いとなった23Cをチョイス。
高圧で、強烈な細さで切り裂くような走りが気持ち良すぎる。
Horizontal 451 SSは限定製作ですがストックがあります。

いつもはこうしたマテリアル変更や仕様変更などの特別版は当店で組ませていただくことを条件に別注製作という形を取らせていただいており、製作日数も多めにいただいているのですが、このSSに関しては構成として円熟の域にあり、ストックしておきたいフレームだと思っているので今回に限りストックをしてみました。
現在のストックはSサイズとLサイズの2本、単色塗装、ヘッドセット込みで税込272800円がフレームセット代金で、ここからパーツなどを組み合わせていくオーダー方法となります。
その他サイズは改めて製作となりますので、期間、金額ともに受注時のご連絡とはなりますが、ストックフレームに関しては最短で3ヶ月ほどで納車ができる可能性もありますので、ハイエンドながら入手までのスピードはかなり早いと思います!
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