2024 Frame making now Online Store

ホリゾンタルフレームのロードフレームで街乗りクルーズ。EBS STUFF!!

梅雨明けに向けて今到着しているフレームをひとつずつ組んでいく週末。
特別製作で年間単位で待っていただいている方もいらっしゃれば、ご予約のタイミングがドンピシャで2ヶ月くらいでご用意できる時もあるけど、順番通りに、丁寧に組んでおりますのでお楽しみにお待ちいただければ。

いよいよ祇園の鐘の音が、って時期に突入したわけですが、クリスマスとかハロウィンとか、色々ある中でこの時期、夏祭りにさしかかる一発目のどでかいお祭りが身近に在る、ってのはとても貴重な体験。

ほんのちょっとした寄付くらいしかできてないし、参加することくらいでしか何か貢献(そもそも貢献なのか、、)できていることはないけど、今年も楽しみに、そしていろんなことが起きているけど、少しでも好転するように願うのみ。


今週のご紹介は久しぶりのSTUFF。
最近ではグラベルロード、グラベルバイクという言葉も完全定着し、グラベル用途でなくともその幅広いセッティング域、安定感と快適巡航が多くの方に評価されワールドスタンダードとなったジャンルですが、STUFFもそのフレームの持つマルチパーパスな真ん中に位置する特性、昨今のグラベルパーツ、SHIMANOならGRXだったり、タイヤの種類の豊富さでグラベルカスタムやツーリング特性に振ったつくりにしていただくことも増えた中、コミューターとしてカスタマイズしていこう、というオーダー。

変速段数を必要な分だけに区切り、グラベルやMTBから供給されるタフな環境でもトラブルを防ぐ機構を街乗りに落とし込む。

その中でハンドルライズやちょうどいいサイジングで快適を目指していく、日本で生まれたジャンルなのにかなり雑な扱いを受けている「クロスバイク」を真剣に作り込んでみた。というテーマが見え隠れする一台です。

今回のオーダーは大阪でお話をお伺いして組ませていただいたバイク。
現在、僕個人が動いて大阪でご相談をお受けする、という形は行なっていないので、ご相談は大阪堀江のUNPEUスタッフにお願いします。

それでは、今週のご紹介は..

目次

Engineered Bike Service (EBS) / STUFF

ベースはオールブラックでハードな印象ながらも普段使いに合わせやすそうな親しみやすさも含んだ最高ファーストインプレッション。

乗れば後ろからぐんぐん伸びてくるSTUFFの設計特性がすぐに感じられ、ワンポイントの真鍮パーツなどで経年変化も楽しめる、付き合うごとに街に馴染んでいくアーバン・コミューター。

今回はSTUFFは身長190cmの高身長なオーナー。
Lサイズフレームの迫力にハイライズなハンドルバーで今まで乗っていた高身長がゆえのお悩みなどを解決した上で「バチっ」とスタイル出るようにバランスを意識し、クランカースタイルやBMXクルーザーのような快適性も持たせています。

ざっくりフレーム解説。

STUFFが「マルチパーパス」と呼ばれる理由。

STUFFはEBSのフレームの中でもかなり柔軟性のあるフレームで、実現したいスタイルが特別な加工なく可能になる拡張性と、乗っていく中で何かしたくなってきた時にもラック、フェンダーなどが取り付けやすい構成になっています。

細めのタイヤでディスクロードとして。
プロムナードハンドルでゆったりお散歩バイクとして。
ホイールサイズを変更してよりまたがりやすくしたり、グラベルバイクとしての性能を底上げしてみたり。

現在のSTUFFのざっくりスペック。

ホイール規格は前後12mmスルーアクスル、フロント100mm、リア142mmの現代の黄金構成。
この規格は長く使えて交換パーツなども豊富に存在し続ける規格だと判断しました。
タイヤサイズ想定は700Cなら43Cまで、650Bなら47Bあたりまでをイメージ。

フレームマテリアルはクロモリ、国産自転車用であるKAISEI 019、ダブルバテッドでフルクロモリ、フルセット。

センタースタンド台座標準装備、フロントダブルアイレット、フォーク中間ダボ。
リアにはラック取り付け台座に足元はラック、フェンダー穴をエンド入れています。

フレームサイズはS(510、極弱スローピング)、M(530、ホリゾンタル)、L(560、ホリゾンタル)の3サイズ展開。
650Bで160cmくらいの方から乗っていただいてたりもするので、スローピングしているフレームがちょっとな、って方も一度ご相談ください。

今回のフレームカラー。

STUFFではもしかすると珍しいかもしれない完全マットブラック。
製作前のヒアリングではホワイト、パープルも良いな、みたいなお話を聞いていたんだけど、それは身長的に選択肢がなかったから、いろんな店舗を回ってストックのあったその車種、そのサイズのカラーを希望色に上げてくれていた、というもの。

本当はどんなカラーが良いか?という話を進めていくとマットブラックで格好良い感じでいきたい!ってことだったんでそれなら好きなスタイル追求しようぜ!となりました。

オーナー様は学生で、長く使える自転車が欲しい、どうせ使うならちょっと良いやつを、ってことでしたが、僕の学生時代には考えられない素晴らしい意識。

当然、社会人とはご予算感も違うので、かなり頑張って探してきました。
なんか、こういう長く使えるものを今のうちに導入しておきたい、っていう若い子に向けてお得な制度とか作りたいけど、なかなか難しいね。
もし、調子いい中古パーツとか扱えるようになったら、そうした提案もしていきたいな。


マットブラックにカッパーのEBSロゴがばっちり似合う。
こういう艶消しの場合、ノーロゴだとかなり安っぽくなる。マットブラックって流通数が多いのでとっても難しい。
ミニマルにまとめたい、ってご依頼も多いんですが、中間にリズムが欲しいな、って思った時は一度ご提案させていただくのでちょっとだけお時間くださいね。

ゴールド系がグッと映える、ホリゾンタルフレームなSTUFFのフロントビュー。

コラム長め、ステム長めで高身長のオーナーに合わせて。
本来、高身長って羨ましさしかないんだけど、日本の自転車市場は平均身長に合わせて販売台数を決めるので探しても本当にないことがある。

特に、このバイクの製作時期はどこにも自転車売ってない、ってくらいご提案できるものが少なかったのでかなり悩まれていたと思いますが、そうした経験から「一台を長く使う」という感性が育まれたりしたと考えると、大阪でのご縁に感謝、です。

ちょうどいいクランカー・クルーザーバー。

クランカースタイルのバイクはばちばちのトレンドからその乗りやすさが評価され一気に街乗りのスタンダードとなりました。

今回はその中でも手前のかえりが少ない、サンライズ系のハンドルバーを。
クルージングの29erBMXみたいなスタイリングでばっちりきてる。

ブレーキレバー、グリップなどはリーズナブルながら歴史あるものを。
ODIのグリップなんてこの時お得感しかない価格で即買い、僕もストックしました。笑
TEKTROのレバーはなぜかネット上では評価が低いけど、ちゃんと剛性もあるし、引き量も変更できる優れもの。
このレバーが無意味に低評価されてるうちは安価に入手可能なはず。使ったら絶対評価変わる。

STUFFのヘッドバッジはレーザー加工されたプレートなんだけど、この頃真鍮製に変更されて、かつ厚みもかなりこだわって経年変化がガンガン起きる仕様にしたんですよね。
スペーサーのブラス、ロゴやデカールとかなりの高相性。

上質スリックタイヤにブラウンフィニッシュのGBハブ。

タイヤは当時のベーシックコンプリート特典、「タイヤセレクト無料」を駆使して上質なタイヤをセレクト。
流通している量販車でリーズナブルに完成価格を設定した場合、まず除外されるのがなぜかタイヤ。
確かに、なんでもついてりゃ走れるんだけど、走りにとっても影響するからこだわって欲しいという思いから。

TERAVAILのRAMPERT、今回は42Cでグラベルにも使えるものを採用、軽く走れて乗り心地良し、雨の日、荒れた路面、街乗りならまじでどこでもいけると思う。

ホイールは黒のセミディープリムのいい感じのやつをDigれたので採用、スルーアクスルのフレームだとどうしてもホイールで予算が上がってしまいますが、GROWNハブなら性能を保ったまま価格追求が可能。

ルックスとしてもかなり良いワンポイントになったんじゃないでしょうか。

ブレーキはしっかりセットすればちゃんと効くPROMAXのものを。
これもネット上で低評価なんだよね、みんなちゃんと使った結果で書いてるのかな?

たしかに、高級とされるブレーキの剛性感には敵いません。
でも、引けばちゃんと停まるし、調整もシンプルな機構でセルフメンテも結構楽だと感じています。
これから先、カスタムで交換していくことになるかもだけど、ブレーキにあーだこーだ言って乗らないより、ばっちりセットして乗り慣れて、自分に合ったストッピングパワーを追求していけばいいと思いますね。

クランカーバーで街中クルージング。STUFFのサイドビュー。

こうしたクランカーバイクなスタイリングの自転車の場合、スローピングしている自転車が現行ではほとんどですが、だからこそこのホリゾンタルフレームでクルージングなライドポジションは新鮮で目を惹きますね。

オリジナルパーツで性能しっかり、価格おさえめ。

クランク、ナローワイドチェーンリングなどがサイドビューでのオリジナルパーツ。
使ってみてよかったものだけをセレクトしている僕たちのパーツなんですが、ロゴをバンバン入れたりせず、どんな自転車でもカスタムに使いやすいようなイメージで扱っています。

無地系のパーツは同じバイクショップ、同業の方にご注文いただいたりしているパーツなので、あまりパーツ単体として目にする機会は少ないかもしれないけど、EBSオーナー様は購入可能ですので自分で組んでみたい!などがあればお気軽にご相談くださいませ。

今回はナローワイドギアを42Tでセット。
街乗りで十分なギア比で軽さも出て、日常使いに便利な機能までついてくる。

異素材の黒にこだわる。オールブラックの自転車に不可欠なアイテムたち。

オールブラックって、ちょっとやんちゃなイメージに見えるかもしれないけど、自転車界ではかなり幅広い方に人気のNo.1かNo.2くらいの超人気カラー。

実際、大量生産だからこそ市場を徹底的に研究して発売される2万円くらいの自転車にもオールブラックはかなり存在しており、マット具合やパーツアッセンブル次第で安見えも高見えする難しいコーディネート。

だからこそ大人が乗るには安っぽくなったりしないよう、上質な革サドルやちょっと良いペダルなど、予算的に削られやすい部分に少し投資しておくとグッと良くなり、実際に高級感のある佇まいになっていると思います。

サドルはBROOKSのB17、スタンダードモデル。
ペダルはMKSのALLWAYSをチョイス。
ペダルは個人的な推しペダルです。笑

クランクキャップに真鍮などを取り入れるのも一気に上質になるおすすめカスタムですね。

STUFFにはグラベルロードなどの規格を載せながらもセンタースタンド台座がついているちょっと珍しいフレーム。
そうしたカスタムにはもちろん、今回のようにコミューターカスタムで街乗りメイン!って場合にはシンプルなシングルレッグスタンドが大活躍。

ツーリングフレームをコミューターカスタム=よく走る。STUFFのリアビュー。

そもそもコミューターバイクとは?

コミューター=通勤。
海外ではコミューターバイクといえば気軽な街乗り自転車から仕事に学校に、とタウンユースでガンガン使える自転車を指します。

日本ではママチャリ、軽快車なんて言葉があってコミューターは一般的ではないけど、自分のバイクが街乗り系なら胸を張って「コミューターバイク乗ってるねん!」と自称しましょう。なんか響きがいい感じでかっこよくね?

手に入りやすいグレードで修理やメンテに強い自転車に。

今回はSHIMANOのカセットにSRAMのRDという互換があって両方リーズナブルに手に入る構成で組んでます。
このシリーズ、良いんだけどなぜかお得で買える時にたくさん仕入れておいたので、今これを書いている2023年でもその時の価格のまま出しています。

変速構成でサムシフターを使わない9速構成の時はEBS KYOTOで最も安価に変速仕様にできるので、変速機を取り付けたい方、これからできるだけリーズナブルに組みたい方はこの構成、使いましょう。

今回はチェーンのみブラックで追加のカスタム。
軽くて良いチェーンです。

リアにもワンポイント、そしてシルキーライドを約束するナイスタイヤ。

リアハブにももちろんGROWNのハブを。
このハブは135mmクイックリリース、142mm/12mmスルーとアタッチメントで付け替えが可能で、フロントは15mmにもできるのでEBSではかなり多くの車種に使用可能です。

ハブラチェットサウンドもいい感じでうるさすぎず、上質感のあるカリカリ系。
カラーはこのアンバー、あとはシルバーとブラックがあるけど、たまに限定カラーとかあるかも?

タイヤはフロントでも紹介したTERAVAIL。
42CのRAMPERTふかふかを感じ始められるサイズ感でちょっと荒れた舗装路、トラックの多く通るところなんかもスムーズにいけちゃうし、鴨川なんかもばっちりOK。
今回の使用想定ではないですが、普通に林道にも入っていけるグラベル、オールロードタイヤなのです。

このバイクの製作秘話。

いろんな自転車でお悩みだったとっても高身長オーナー。
一緒にご来店されたご家族とも詳細にご相談をお伺いし、これからの10年、20年と使っていける丈夫なバイクを、ということでホイールなども手組みでご用意した上でベーシックなパーツを入れていきました。

僕はその年の頃、めちゃくちゃ自転車を雑に扱っていてしっかりと未来を考えてバイク選びをしている姿に反省したもんです。笑

僕も遅ればせながら長く使える自転車の良さに気づき、今では長く使える自転車たちに囲まれていますが、仮にこのバイクのオーナーが本気で使ったら同じ自転車に乗り続けた歴、みたいなのって僕より段違いで長くなるんだよね。

そんな人と比べる物差しなんて必要ないし意味もないけど、スポーツバイクっていろんな趣味の中でもかなり長く遊べて、楽しめて、眺めるだけでもケッコーいけるナイス趣味だと思っているので、ガンガンスポーツ用途でなくたっていい、乗り継ぐことになったり、載せ替えたりすることになっても長く、遊び続けて受け継いでいってくだされば最高です。

Gオーナー、今も学生でいらっしゃいますがあの意識ならば僕の2億倍学びも深いと思います。
将来の大物に自転車組ませてもらえて光栄、ご家族にも大感謝、であります。

ありがとうございました!いつでも京都、ご観光にきてください!

Engineered Bike Service/MASN

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