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【シングルスピード×クラシック】EBS Kamogawa V3|国産クロモリで街中の余白まで探し出す。

暖かく、、じゃない、暑くなってきてんね、こりゃ。
人間が快適に過ごせる期間がどんどん短くなってきちまってる気がしますが、鴨川は涼しくて、そして平和です。

この季節になると必ず自分に訪れる「シングルスピード欲」「ロードバイク欲」。
今年は同時にきました。笑

シングルは常日頃乗っているけど、僕の乗ってるピストはちょっと規格が旧くてタイヤが激細なんだよね。
昔はこれこそが至高!って思ってたんだけど、最近のグラベルバイクやスタイル、そして自分の乗っているバイクを見ても、全部太くて、もう慣れてしまって細いタイヤがちょっと怖い。笑

これ、多分今のグラベル界隈にも起こってて、ちょっと前なら35Cあったらどこでもいくぜ〜!太すぎ〜!
とか言ってたけど、今じゃ45C、なんて人は多いはず。

加齢により命の大切さにさらに輪をかけて安定を求めた、ってのはまさに僕のことなんですが、最近は太いタイヤの入るシングルスピードが求められるし、おすすめもしています。

EBS KYOTOで販売しているもので該当するのはKamogawa。
2020年のローンチですが、V1の時点で最大幅38C、推奨幅35Cまでで指定タイヤは32Cを履かせており、あの頃の目線は間違ってなかったな〜!、と今でも思えます。超絶レアなV1ですが、乗ってくださっている方、本当にありがとうございます。

そんなKamogawaもV3となり、指定サイズは35Cへ。
最大幅などは基本的に変更せずでほぼそのままの設計にしています。

今回はホイールサイズをインチダウン、その上で幅を拡げてさらに安定、走破性を高めたかなり使いやすいシングルスピードの納車記録を追ってみよう。

本日のご紹介は…

目次

Engineered Bike Service(EBS)Kamogawa V3 650B Custom

最近はインスタも縦だし、動画も縦だしで縦に撮るのがデフォになってきたな〜。
PCは縦には伸びないのだろうか。。笑

シングルスピード650Bのスタイリングはシンプルなのに迫力も出ていいですね!

このバイクについて

EBS Kamogawa V3とは?

コンセプトは?どんなバイク?

「Kamogawa」シリーズは、僕がまだ五条の小さな店舗で人知れず作業していた頃、どうしてもシンプルで価格をおさえたシングルスピードが欲しい!でもしっかり軽量で、乗り慣れた人も、知識のある人も納得させるクオリティで!というわがままから生まれたフレームです。

もともと、京都ってシングルスピードでも良くねえ?って思ってたのと、昔ピストに乗ってた人たちも大人になって、家族が増えたり、落ち着いたりして自転車に乗る機会も減ってるんじゃないかな〜。と思ってたわけです。

でも、ちょっと色々落ち着いてまた乗ろっかな〜、ってなった時、やっぱりなんだかんだシングルが気になるはず。
でも、昔みたいにむちゃくちゃして乗るわけでもないし、それなりに安定させたい。
そんな昔乗ってた人にも、これがはじめてで何もわからない人にもおすすめできる自転車を製作しよう!と思ったんですね。

なので、Kamogawaは「誰が乗っても満足させるど真ん中のスポーツシングル。」
初めてのオーダーから、しっかり乗っている方も、乗っているうちに知識がついてきて色々やりたくなっても、10年乗っても、廃れたり、年齢に対して乗り物が若くなったりしない。そういうものを製作するぞ、と決めました。

年間生産数の少なさ、ハンドメイドの価値

製作数の少なさで売ったり、レアリティを高められるようなチームではないし、そんな気もないんですが、やっぱり年間5本程度、ってのはレアです。笑

このKamogawaシリーズは、「EBSで製作できるフレームの中で、完成車として最も安い価格で出す」ということを1番はじめに決めています。

クオリティを下げず、他でも使用している番手の軽量KAISEIクロモリを使って。
これを可能にしているのが「製作工程の最適化」です。

年間で空けているスケジュールの中で製作を行います。

EBSでは他店さまの受注フレームや、オリジナルフレーム製作なども行っており、発注があればスケジュールに組み込み、年間で必ずその期間を作ります。

当然なにかあった時や新規開発用の時間もとっており、年間でたまにその空白の期間が必ず発生します。
本来、不確定、不定期で起きるその空白にその他のラインナップの製作をすることはできず、その時製作しているフレームの製作本数に+αされる、という流れなんですが、年間で決めたもの以上に製作を行って良いことは特にないんですね。(もちろん、欲しい人がいれば作りますが)

では、どうするのか?というところをうまく使えるのが僕であり、EBS KYOTO以外で基本販売しない専売フレームKamogawaを製作に入れられる期間となります。

なので、製作本数はかなり少ないんだけど、効率化し、マンパワーをフル活用しているからこそその分完成車として価格を攻められる、裏側としてはかなりスケジュールの詰まった努力モデルなのです。

オーナー様のスタイルと要望

今回のKamogawaはお父さんから娘さんへのプレゼント。
これはサプライズだったので、娘さんには一度もお話しを伺わずに製作を進めるという、なかなかないパターンのオーダーでした。笑

こどもに自転車を買ってあげる。ってのは僕も経験がありますが、なかなかこのバイクをセレクトする、ってのは渋い(自分でいうな)です。

注文時のご要望

できるだけ低床設計(身長が低くても楽しく乗れるよう、足付きが良いように)に。
というところが絶対条件。

なので、標準では700CでセットされているKamogawaを650Bにして、一周分インチダウン。
どこまでも追求、、ってことで細めのタイヤがセレクトされていたんですが、やっぱり安全性は重視しよう、ってことになって履ける太さで最も安定感のある形で仕上げることにしました。

ちなみにフロントの方が太めです。

どんな使い方を想定しているか

基本はコミューター。
お買い物、街乗り、通勤、通学。
バックパックを背負ってどこでも行けるようなスタイリングです。

シングルギアであることの理由、ライフスタイルへのフィット感

Kamogawaはシングルスピード、変速機は取り付けられない規格です。
変速が必要な人がたくさんいるのと同時に、変速は一切要らない人もたくさん。

変速機?ついてるけどずっと1番重いやつで乗ってるよ〜!とかだったらもう絶対シングルスピードだし、思ってるよりどこでも行けちゃうので、チェーンやギアの厚みがあって丈夫で一つのパーツを長く使え、一回セットすればたまにチェーンを張ってやる、オイル差してやるだけで長く使えるシングルスピードはライフスタイルバイクの1本としてはかなり優秀なセレクトです。

お話ししている内容と乗っている自転車を見てもお父さんがメンテ好きなので僕の仕事はもうほとんどないはず。笑

細部まで美しい、パーツセレクト

ドライブトレイン:シングルギアの潔さ

しっかりスピードを出してスポーツ走行が可能、かつ坂道も行ける適切なギア比。

仮にお会いしながらお話を重ねたとしてもその人の今にとってのギア比の正解を出すことは至難の業で、そうそうパーフェクトなんて出ません。

シングルスピードは変速機がない=選択できるギアが一つしかない。
逆に言えば、そこを変更していけば自分に合ったギアは見つかります。

正解が出ない、というのは完全に的外れのものが入るわけではなく、ある程度データ上で裏打ちされた「このくらいが乗りやすい」という数値があります。

そのギア比ベースで前後を考えてみるだけでOKで、一発目に決めるギアも、90点くらいは必ず入ると思う。
そして外したギアもその都度入れ替えることができるので、着せ替えるように楽しんで欲しいです。

変速機はとっても便利で、人類の発明です。
スマートフォンで自由に組めるプレイリストみたいな感じ。
一方、シングルスピードはレコードみたいな感じかな。

1曲を選んでかける。次の曲は入れ替えて楽しむ。
どっちも便利だけど、シングルスピードはロマン重視みたいなとこがありますね。

ちなみにこのバイクのギア比は46T×20Tのギア比2.3。
ピストバイクとかだと2.72〜3.08くらいが好まれるけど、ゆったり漕ぐならこの辺りもフィットします。
Kamogawaの標準が2.55なので、そのままでも世間一般的には軽めです。

ちなみにギア比、は自転車を漕いでペダル(クランク)がぐるっと一周した時、タイヤは○○周します、ってことで、この場合は2.3周します。

Kamogawaのベーシックモデルでは完成車ながらギア比が選べるようになっていて、2.875(リアフリーギアが16T)、2.555(リアフリーギアが18T)、2.30(リアフリーギアが20T)から選べます。

固定ギアももちろんセレクトが可能で、その場合はリアは13Tから21Tくらいまで、ギア比でいうと3.53〜2.19までとかなり幅広いセットが可能です。

カスタムオーダーの場合はフロントから変更できるので、細かくカスタマイズしたい場合はもちろんお気軽にお申し付けください。

クランク、チェーンリングなどの選定理由

クランクはBlue LugのRMC Trackクランクを純正でセレクトしています。
シルバーパーツのクラシック、真鍮のクランクキャップが元からついてくる(このキャップだけで2000円くらいします)親切なところ、価格としてこなれているのにトラック規格であるPCD144が選べるところからこのクランクを採用させていただいています。

PCD144、ってのはクランクとチェーンリングの規格で、ボルトピッチ円の直径のことを指します。この場合は144mm。
他にも130mmや110mm、94mmなど、どんどん小さくなっていき、現行モデルでは144mmは最大となります。

小さいチェーンリングを作るには当然直径は小さいものが必要ですが、Kamogawaのベースに144mmを採用している理由は、「競輪規格」だから、です。

大きいギアや歯数を1丁ずつセレクトしやすい、高精度で丈夫なギアを手に入れやすい、というメリットがあり、僕の内心はいつも競輪リスペクトだし、純正状態からトラックバイク的にカスタムを持っていけるように、という思いのセレクトです。

純正では46Tがセットされており、例えばチェーンリングだけSHIMANO DURA-ACE TRACKやSUGINO ZENなどもインストールできる、なかなかナイスなクランクです。この価格帯でこの質感、なかなかないんだよね。

もちろん、先のデュラやスギノのクランクはより高性能、軽量ですが、なかなかの価格なので。笑
チェーンリングだけなら買える価格だし(それでもはじめはびっくりするかも)、ギア比はもう体感しかできないカスタムなので、欲求に対してわかりやすく解決(もっとギアを軽く、もっとギアを重く)できるカスタムです。

ホイール&タイヤ:手組のオールシルバーと乗り心地抜群タイヤをセレクト。

オールシルバーのホイールって、もうほとんどない。

これはシングルスピードに関わらず、ですが、クラシックな見た目を一発で醸し出せるシルバーのホイール、すでに組まれたいわゆる完組ホイールは僕がみる限りではもうほとんどないです。(超高級ホイールにはラインナップされたりはする)

あってもやたら少スポークで明らかに長く使えなさそうだったり、めっちゃ昔の規格の狭小リムだったりで現行のスタイリングやセットにはおすすめできなかったり(何に使うねん!という逆の超超幅広もなぜかある。あまり物かな?)して、やはりクラシックで、普段使いや服装、街中に合うスタイリングにしていこうと思うとシルバーホイールは欲しいところ。

となると自分で編んで組む、これが1番安く、納得のいくものが作れます。
本来は、ハブ(車軸)とリムと(車輪枠)スポーク(ハブとリムを繋ぐ棒)やニップル(繋ぐためのナット)などを全部選んで、回転の質を追求したり、メンテナンスフリーに限りなく近づけたり、軽くしたり、丈夫にしたり、色で遊んだり、、としていくわけですが、Kamogawaのスタートモデル、いわゆる完成車のホイールは僕がセレクトしたもので組んでいます。

基本は最もベーシックなシルバーハブ、ベアリングもメンテナンスが必要な物ですが、しっかりセットすれば良く回るものを、リムもベーシックながら自然な光沢、精度のものを使用しています。

人に合わせて組んでいるわけではないですが、万人が安心して乗ることができるひとつの車輪に32本のスポークが入ったものを採用、スポークはDT Swissというブランドのものを使用することが多いです。

「完成車」で手組ってまあ普通ないんだけど、全部組んでます。
組む、ってことは、もともとバラバラなので、オーダー時にダイナモハブを指定して、ダイナモライトを入れることもでき、普通にオーダーしたり、後から増設して組むより初期投資として結構安くなるので、夜走る人やライトの充電したくない人はダイナモの検討はマジでおすすめです。

このバイクでもダイナモハブを入れていて、オートライトで回転が軽く、抵抗も少ないのに発電量はしっかりしているスポーツバイク用のダイナモハブを使用。

650Bのリムブレーキ用リムなんてなかなか手に入らない、、と思っていたのですが、最近お手頃価格で手に入るようになりました。メーカーさん、まじでさすがだし、感謝しかないです。

タイヤはエアボリュームもあり乗り心地ヨシ、そして転がりも良くてタフなタイヤ。

Kamogawaの純正タイヤはPanaracerのGRAVEL KINGの700C-35mm。
絶対にこれじゃなきゃダメ、ってわけではなくて、他のブランドでも、細くても良いし、入る範囲で太くてもいい。

Panaracerを採用した理由は、なにより性能に対してとってもリーズナブルであること。
そしてタイヤパターンが4種類から選べます。
SK、X1、SS、無印とあるんだけど、無印に寄ればオンロード、舗装路向けに、SKに寄ればオフロードというか、名前の通りよりグラベルに向いたタイヤになります。

オーナー様の中で人気なのは「GRAVEL KING SS」。ちょうど良いところどりで、セミスリックパターンで転がりよし、サイドパターンで砂地や林道なども多少効いてくれます。
Kamogawaの使用想定では空気圧をガン下げしてグリグリ山入る!なんてことはあんまりない(やろうと思えばできるんだがね)ので、規定の中で高圧寄りで走ることになるんですが、SS、なぜかめっちゃ丈夫なんですよ。

今回は650Bで直径が小さくなっているので、その分タイヤを太くでき、フロントでは43mmのタイヤを入れています。
リアも43mmはいるんですが、ちょっと加工が必要なのでこういう感じで組みたい方は要相談、ってことで。

43mmくらいになると、タイヤそのものの重さが出てくる、、と思いきやスイスイいけます。
もちろん、23mmなどのタイヤで超高圧、切り裂くように駆け抜けるぜ〜!って走り方ではないんですが、太めタイヤに懐疑的だった方も、最近の太めタイヤにびっくりされますし、一度乗ると安定感抜群で街乗りではある程度太めなのはノンストレスに直結しうることがわかります。

意外に細いタイヤだと路面のコンディション細かく気にしなきゃで、無意識にかなり気を使ってるんですよね。
どこでもある程度ガンガンいける、ってのは快適です。

GRAVEL KING X1はよりパターンが太く出てくるんですが、見た目で選ぶのもOKですし、次回別のタイヤ使ってみたり、なんてのも楽しんで欲しいです。

ハンドル&コクピット:シンプルなライザーバーにフロントラック、ダイナモライト。

NITTO for shred bar

もはや説明不要の名作ハンドルバー、NITTOのシュレッドバー。
トムソンのライザーの文脈などは置いておいて、かなり乗りやすく、入れるだけでバイクも格好良くなるハンドル。

もう発売されてから10年以上経っていて、幾度も再評価され、ついには定番化しましたね。

基本的にまっすぐのハンドルなんだけど、若干ライズアップしていて、スッと手に馴染みます。
ハンドルカットも結構切り詰めることができ、このバイクは後日、サプライズ後に娘さんの体格に合わせてカットさせていただきました。

NITTO M-18フロントラックにBM社のダイナモライト。

同じく日本製からはNITTOのフロントラック。
何を載せる、というわけでもなくまずはアクセントとして。バッグサポーターとしてもOK。
バスケットをバンドで縛って日常使いなども問題なく可能です。

KamogawaはNITTOのラックなどを想定してフォークの中腹あたりに穴を左右に一つづつあけているので、このタイプなどはフォークエンドまで足を伸ばす必要なく、すっきりセットが可能です。

フロントライトはハブで自家発電し、常にフルパワーで視界良好なダイナモライトをセット。

EBS KYOTOでは多くのご依頼をいただくようになったカスタマイズですが、Kamogawaは6000円ほど安く組めるので少しお得感があると思います。

よくチョイスするダイナモライトはブッシュアンドミューラー、ドイツにあるメーカーのライト。
基本はIQ-X(100LUX)とIQ-XS(70LUX)を使用していて、理由としては価格に対しての光量がデカい。
ふたつめに、というかこれ同じくらい重要視してるんですが、アルミボディの美しさ。
樹脂ボディで割れてきたり、、などもなく、スッと馴染んでくれる良さがあります。

ロードバイクとかだとシリコンライト系が逆に似合ったりするんだけど、このへんは好みだね。

これはIQ-XS、光量抑えめといえど70LUXで、夜中の鴨川を安心して走れるレベルです。

サドル:クラシック×快適性

BROOKSなどのレザー系か、現代的な軽量系か

サドルって色々あって、合う合わないもある。
「サドル沼」って言葉があるくらい。

軽量なサドルはカチカチの素材で作られていたり、レーシングなサドルは「完璧に効率的」に乗ることができる人向けに作られていて、もはやお尻は乗るものではなく乗せるもの。

実際、街乗りでそんな効率的なペダリングだけしているようなことはないし、サドルは擦れて当たり前、どこかに擦って当たり前のなかなか酷使される環境にある消耗品なので、できるだけ長持ちするものをEBS KYOTOではおすすめしています。

となると、倒してしまったり、擦れてしまって破れない、当然中身にスポンジなどが入ってなくてグチュグチュにならない革。

むしろその擦れやシミが「長いこと使ってる証」、そのものが味わいになってくる革。

だんだんと自分のお尻に馴染んできて、適度なクッション性を調節できるようになってくる革。

クロモリに似合うクラシックなサドルは?革なのです。(どんだけ推すねん)

見た目の統一感と実用性のバランス

今回はモノトーンというか、タイヤやグリップ、サドルなどのブラックカラーにクラシックなシルバーのパーツ類、これを黒と白と表現した時に間に入ってくるグレー系のローカラー(Parkerizing Matt RAW)が相性抜群かつ、遊びの許容量がめちゃくちゃ広いので、タイヤのサイドがブラウンになっても、グリップにいろんな色を入れても映える、スタートとしてはこれ以上ない構成。

長く使えるハンドメイドクロモリフレームと同時に始まる革サドルライフは、10年、20年と使い込んであげることで、所有している喜びとは別の、「長く使っていることそのものが格好良い」スタイルがでます。

最近は昔のものを買ってきて、まるで自分が昔から好きだった、みたいに見せる(まあ、わかるけどね)のがSNSや都会の流行りなので、そうじゃない方に出会って欲しい自転車です。

メジャーデビューしたバンドみて、「売れる前から知ってたよ〜」ってフェイク挟むのは違うじゃん?

仕上がりから伝わるこの1台の「意志」

カラーリングとペイント

塗装のカラー選定理由、好みと調和

このカラーはEBS KYOTOではかなり人気のカラーなんですが、実はこれ、ほとんど「カラー」ではありません。

というのも、この仕上げは日本では「ローカラー」と呼ばれているもので、「RAW」、自転車においては「生地」「鉄素地」そのままの状態を指します。

溶接面が塗装で隠れないので、真鍮の流れた金色の感じが残ったり、一本一本同じではない仕上げ(パイプは完全な丸ではないので、埋めたりしたあとも残る)が逆に渋い!となって主流化したものです。

源流としては、BMXやMTBのプロライダーがガンガン攻めて、設計をやりかえたり、フレームを折るくらいのハードなライドをしたりと繰り返されるタフ環境に「いちいち塗ってられねえ」となり、できたてそのままで走るそのイリーガル感が最高!となった説、、などがありますが、めっちゃわかる。車でもテストカー見るとアガるもんね。

でも、めっちゃ錆びる。雨に弱いとかそんなもんじゃなくて、家の中に置いてる湿気で錆びる。
「長く使える自転車」を掲げているのに、そんなことありえる?

あるのよ、最高の対策法が。

パーカライジング処理という方法を経てこの仕上がりになります。

パーカライジング処理とは、(Parkerizing、リン酸塩皮膜処理)は、鉄や鋼の表面にリン酸塩皮膜を生成して防錆性や塗装密着性を向上させる処理のこと。

アルミなどには使えなくて、自転車界隈では基本的にクロモリ自転車の特権というか、もうこれがないとやっていけないまである。

EBSのペイントの中にも92%くらいはこの処理を経て塗装されているので、基本的に錆びにも強いです。
残りの7%はメッキ仕上げ、1%はクレイジーな選択肢ですが、あえてこの処理を行わない人もいます。
やりようによっては、なくてもOKではあるんだけど、常に水分との戦いでめっちゃしんどいです、おすすめしません。笑

ざっくり言うと、リン酸にクロモリを浸けると結晶化された皮膜ができて、ザラっとした質感になる。
ザラっとしてるから塗装も乗りやすかったり、油を保持してくれるからこれだけで防錆力は高まるんだけど、これだけじゃ2年くらいで錆びてくる。

で、EBS KYOTOではこの上からできるだけ鉄の質感を失わないように、さらに透明の塗料を吹いています。
基本は画像のような艶消しクリアを吹いた「Parkerizing Matt RAW」ですが、艶々にあえて仕上げる「Parkerizing Clear RAW」という選択肢もあります。

厳密に言うと、通常の塗装より塗膜は色の分薄いことになるけど、このローカラーはかなりサビに強く、ストレスなく10年以上サビなく過ごしている方もたくさんいらっしゃいます。

塗装をしていても内部では錆びていることもあるので、ある意味見えるのは致命傷を防げるとも言えるし、酸化なんて地球上で止められないので仮に錆が走ってもビンテージデニムのように愛してあげて欲しいですね。

昔はこれをメッキなどで代用していた(EBS KYOTOでは今も使います)んですが、メッキに比べて大幅に安価であることや、部分的に処理が可能だったりもするので、クロモリフレームの塗装ではかなり有用とされている処理です。

でも、塗装工程が少ないから安い!ってわけでもなくて、素地な分、いい感じの表情が出るように磨いたり、あえて磨きすぎないようにしたり、塗装までになかなか気を使うシーンもあったりして、パーカーRAW仕上げは通常仕上げより少し高くなります。

実際のライド感想と印象

650B化されたKamogawaの安定感は抜群。

EBS KYOTOのテストライド環境は基本的に鴨川です。
砂利も、砂も、石畳も、ちょっとした坂も、草むらもすべてあって、個人的にはこの店舗の最大のストロングポイントです。

グラベルバイクの場合などはちょっとだけ別の場所に行きますが、あくまでテストライドなので、ドロドロにしたり、オーナー様の前に乗り回したりはしません。

650BのKamogawaは今まで数台ありますが、(そもそも全台合わせても30本もないけど)漕ぎ出してすぐに伝わる安定感。

700Cの35〜38mmという「太さ」から見える安定感ではなく、車輪径をインチダウンしたことによる足つきの良さの安心、漕ぎ出しの軽さが求めておられたギア比とピッタリはまってかなりいい感じ。

ハンドルバーはノンカットの方が僕は合いますが、このハンドルバーは後日来店いただきカットさせていただきました。

街中での加速感、停車からのレスポンス

グッと力を入れればすぐに加速、一気に巡航したいスピードまで。

信号待ちからのゼロスタートでもその実力は発揮され、シングルスピードの良いところがしっかり盛り込まれています。

軽さと安定感の絶妙なバランス

前述したギア比と太めの走行感、どちらもハマっており、いつまでも乗っていたくなる、かなり良いバランスです。

この一台が叶えてくれるもの

引き算して、もう一回足すことで得られるオリジナルカスタム。

シングルスピードって、この電動変速や油圧ブレーキ、E-bikeなどのご時世で、最もシンプル。

原始的なすがたへ回帰する、惹かれる人がいるのは、シンプルに「楽しい」から、です。
パーツ点数の少なさに起因する壊れにくさなどももちろんありますが、自転車を選ぶ上で「壊れにくい」という超重要ポイントですら吹っ飛ばす、大前提に「楽しさ」がある自転車はやはりシングルスピードですね。

子どもの頃、変速をこうしてああして、、なんて考えてなかったと思います。
なんだったら、軽いギアの存在意義が分からなかった人も多いと思います。

Kamogawaは、そんな楽しいの初期衝動を大切にし、かつ大人になって、ピーキーな乗り物で楽しむ、というよりも、長く使える、安定感のあるシングルスピードを作りたい、と思ったのがこの自転車なのです。

「なぜシングルスピードなのか?」という問いに対しては、理屈をこねたりせず、どストレートに「楽しいから」。
根源的な楽しさを味わうことができます。

Kamogawa V3が持つ、都市生活での新しい選択肢としての価値

ピストバイク的な思想で言うと、やはりNJS、競輪規格のフレームやパーツを多用した街乗りピストがまず思い浮かびます。

僕はNJSピストを街乗りで使う、という超絶ブームの時にピストに乗っていたので、やはりそこの楽しさや、ちょっと乗りにくいものをあえて乗りこなす的な部分はずっと伝えていきたい部分です。

でも、30歳、40歳、50歳、60歳、、と歳を重ね、昔は乗ってたぜ〜!
って方も、安心して楽しみたくなってくることや、10代の子が乗っているものに乗るのはちょっとな〜、みたいなこと(若さを感じてしまう)ってあるというか、実際僕がちょっと感じていたこと。

そうなってくると、乗り出して10年、20年経っても、自分の年齢に合うものを所有し続けたい、という思いや、「しっかりルールを守って使う」ことの格好良さに気付いてきたりして、どうしても既存のモノでは満足できなくなってちゃったんですよね。

では、あの踏み込み即加速!軽い!みたいな部分を残したまま乗りやすい!街乗り装備も色々取り付けられる!
というものをどう設計していくのか?と考えながら、かかりの良いステー長、クラシックな規格、快適性を追加しても佇まいを格好良く、ゆくゆくの拡張性を持たせて、、と今の形になっていきました。

街を駆け抜ける自転車にはいろんな選択肢があるけど、Kamogawaはその間の間を攻める、個人的最適解釈なのです。

「長く使える」ことがもたらす安心感と楽しさ

自転車を長く使うこと、には3つくらいの要素があると思っていて

・交換や修理が容易で、手入れして状態を保っていけるのか

・流行りに左右されず、年齢を重ねても自分と道具が重ねる年月に差が出ないか

・自分で悩んで、選んで作ったこと

僕はこの条件が揃っている時、本当に長く使える自転車ができると思っています。
実際に壊れずに寄り添い続けてくれること、同じだけ年をとること、できる前、できた後のことを思い出せること。

長く使ってきた日々が1番それを彩ってくれます。
大切に大切に、傷が入らないように、錆びないように室内に置いておくのではなく、ガンガン使ってガンガン手入れする。
人が積んだビンテージではなく、すべての傷の説明ができるくらい愛着を持ちたい道具の一つが、僕の中では自転車。

それぞれ優先順位はあると思いますし、僕も他に大切にしているもの、お金をかけているものがありますが、いろんなお客様との対話がそこに溶け込んでいき、僕のご提案に響いてくれる方がいらっしゃれば、僕は幸せですね!

Mサイズの試乗車もありますので、ご来店が可能な方はぜひ一度乗ってみて欲しい自転車でもあります。

まずは完成車も見て欲しいし、いつでも質問して欲しい。

カタログ的に見ることができるオンラインストアはこちらから。

まずはざっくり、こんな感じのバイクがあるよ〜!ってのがわかりやすいよう、カタログ的に作っているオンラインストアがあるので、ぜひチェックしてみてください。

気軽に始められる完成車の一覧はこちらのリンクから。

オーダーで相談してみたい方はこちらから

この記事のこのバイクが気になる!とか、Instagramのこのバイクがイメージにかなり近い!とか、こんなんが欲しいけどどれが合ってる?とか、いくらくらいで乗りたい、など、なんでもOKなので、質問いつでも、です。

営業日(金、土、日、月)はまあまあ返信はやめです。
たまにメールアドレスが間違っていて返信できない、、ってことがあるので、メールアドレスはお間違えなく。

あとは、前述したけど連絡したからといって変な営業メールとか、連絡とかしないので、ほんとお気軽に、です。笑

    「まずはお話だけでも」という方、大歓迎です〜。

    画像もない長々文章、お読みいただき本当に感謝です〜!

    ご連絡はMasnまで。ざっくり相談からゴリゴリ濃いめまでいつでもなんでも!!

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